昭和の劇 映画脚本家・笠原和夫

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昭和の劇 映画脚本家・笠原和夫
Book
笠原 和夫スガ 秀実荒井 晴彦
価格(税込): 4,500円
在庫あり。 : 1,500円以上は、送料無料
SalesRank : 84748
Publisher : 太田出版 ( 2002-10 )
Studio : 太田出版
単行本 : 605 pages H:181 x L:835 x W:575
太田出版
太田出版
マーケットプレイス情報
中古最安値: 3,849 円14%off
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生半可な気持ち で 読み出す と 火傷し て しまうような 、 “魂” の 軌跡 。 : 2007-07-19
日本映画 が そ の 反社会性 と 反公序良俗 の 名 の 下 に 、 映画館 の 暗闇 の 中 で 、 観客たち に 夢 と 浪漫 を 与え て くれた時代 に 、 大東映 の 金看板 と し て 数多く の 傑作 を 手掛けた不朽 の 名脚本家笠原和夫 の “魂” の 軌跡 。 本 の 帯 の “昭和 と 刺し違えた男” と の 惹句 が ピタリ と 決まる渾身 の ロング・インタビュー 。 本当 に 、 生半可な気持ち で 読み出す と 火傷し て しまいそうな熱く 、 危ない1冊だ 。
既 に 他 の レビュアー諸氏 が 触れ て いる様 に 、 今著 の 魅力 は 大きく分け て ふたつだろう 。 ひ と つ は 、 帝国海軍から東映宣伝部 、 後 に 脚本家 に 転じ て 以降 、 映画 が 大衆娯楽 の 花形 と し て 量産されるプログラム・ピクチャーから生まれた氏 の 全作品群 に 於ける極めつけ の 逸話 の 数々 を 映画ファン と し て 興味津々 に 楽しめる事 。 も うひ と つ は 、 そ の フィルモグラフィーから語られる氏 の “想い” を 、 検証 、 追っ て いく事 が 、 紛れ も なく“激動 の 時代” で あった昭和 の 陰 の クロニクル を 照射する結果 に なっ て いる事 。
“やくざ” 、 “右翼” 、 “在日” 、 “被差別” 、 “武装共産党” 、 “戦争” 、 そし て “天皇” 。 正 に 昭和 の 闇 の 部分 に 、 被写体(テーマ)へ の 徹底したリサーチ で 鋭く切り込ん で いった執念 と 、 戦前 、 戦中 、 戦後 を 生きた軍人 で あり 、 脚本家 で あり 、 紛れ も なく知識人 で あった笠原和夫 の 思想 が 、 インタビュアー で ある戦後派 の ゲバルト世代 で ある荒井晴彦ら と の 延べ1年半 に も 及ぶ共闘作業 の 中 で 赤裸々 に 語られる の を 読みな が ら 、 過去 の 傑作 が 甦っ て くる 。 今著 が 世 に 出 て ま も なく 、 こ の 世 を 去った笠原和夫 。 末尾 に 謳われ て いる「付言」 の 見事さ が 、 こ の 不世出 の 脚本家 の 強靭さ を 物語っ て いる 。
 

圧倒的なスケール : 2006-07-30
こ の 本 は 戦争 と 天皇 に つい て よくわかる 。 一気 に 引き込まれ て 2日 で 読み終わった 。 視野 が すごく広 が った と 思う 。 リアリティ に つい て こんな に こだわっ て るプロ根性 に 脱帽 。 と こ と ん語り合う と は こ の 本 の こ と だ 。 世界 が 広 が った 。 良かった 。 読むこ と で 貴重な体験 を した 。 おススメ で す 。

天皇制批判 の 一系譜 : 2005-07-15
インタビュアー の 意図 を 裏切るやり と り が 興味深い 。 当然笠原なら60年安保など戦後社会運動 に 大きく影響 を 受け て る と 思いきや「別 に 関係ないよ」 と の リアクション 。 また映画「大日本帝国」 に 込められた天皇批判 は 、 竹中労 の 大河内伝次郎論 を 彷彿 と させる執念 を 感じさせる が 、 それ が 日本 の 侵略戦争や植民地主義批判 に は 全く結びつい て ない 。 笠原 の 思想 は 一見渡辺清 の 天皇制論 と つな が りそう で 実 は 違う と いうこ と が 浮き彫り に なっ て いる 。 松田正男筆頭 に 新左翼 の 笠原評価 は 高かったわけだ が 、 作り手 の 思想 と 、 活動家系観客 の 思い入れ に は ズレ が あった と いうこ と か 。

東映実録路線 心情 の 歴史 と し て の : 2004-11-14
 上 は 天皇 、 下 は ヤクザ 。 右 は 血盟団 、 そし て 左 は 共産党 。 本書 は 、 東映実録路線 で 一時代 を 築いた稀代 の 脚本家・笠原和夫 が そ の デビューから筆 を 折るま で 、 書き上げた全作品 に 関する証言録 で ある 。 全篇600頁 。 そこ に は 、 白塗り時代劇 の 時代からヤクザ映画 の 黎明 、 「仁義なき」東映実録路線 の 興亡 、 そし て 邦画界 の 衰退ま で 立ち会った者 と し て の 記憶 が 込められ て いる 。
 笠原脚本 に 通底する も の は 「不能者 と し て の 暴力性」 で ある 。 着流し の ヤクザ が 女 の す が りつく手 を 振り払っ て 殴りこみ に 行く の は 、 「 で きないから で すよ」 と 笠原 は 言う 。 天皇制 の 中 で 抑えつけられた者 が 、 暴発する 日本人 の 男 の 暴力性 の 根底 に は 不能者 と し て の 劣等感 が ある と いう訳だ 。 加え て 、 帝国海軍二等兵曹 と し て の 戦争体験 。 国 の 為 に 死ぬ事 を 覚悟した の に 、 戦争 に 行き遅れた者 と し て の <心情> それ が 暴力へ と 向かう潮目 を 笠原 は 描く 。 思想史家・小熊英二 が 言うよう に 、 <心情> と は 「思想 で は 表現困難な残余 の 部分」 で ある と すれば 、 笠原 の 脚本群 は 戦争体験 を 持つ日本人 の 男 の <心情> の 歴史 に 他ならない 。
 脚本家 と は 作戦参謀なり 、 と の 持論 を 笠原 は 本書 で 語る 。 映画制作 を 組織戦闘 と 捉え 、 指揮官 で ある監督 の 資質 に 合わせた作戦 を 参謀 は 練る 。 ロケハンや緻密な取材 を 通し て (そ の 一端 は 本書 の 口絵 で 窺い知れる)点描画 の よう に 書き込まれた笠原 の 作戦書=脚本 は 、 当然 の こ と な が ら指揮官 を 選ぶ 。 重すぎ て 監督 が 耐えられない も の それ が 笠原 の 言う<劇>な の だ 。 こ の 重み に 耐えられた監督こそ が 、 「仁義なき戦い」 と いう大傑作 を 撮るこ と に なる 。
 そし て こ の 組織戦闘 が 機能しなくなる時 、 邦画 の 衰退 は 始まる 。
 最後 に 、 同じ脚本家 と し て 邦画界へ の 憤り を 共有する荒井晴彦 と 、 脇 を 固める文芸評論家 の スガ秀実 が 繰り出す質問 の 的確さ 、 そし て 丁寧な脚注 の 存在 が 、 本書 の 読み易さ を 確かな も の に し て いるこ と を 特筆し て おきたい 。

映画ファン の みならず必読 。 : 2003-01-10
全600ページ 、 膨大な資料(全フィルモグラフィ と 、 シナリオ の 抜粋など) と 特 に 登場人物 に 関し て の 詳しい注釈 が つい て い て 、 これだけ で 昭和史(特 に 昭和初頭から戦後60年代頃ま で ) の かなり の 部分 が 見え て くる 。 主 に 笠原氏 と 荒井晴彦 、 絓秀実両氏 に よる対談形式 で あるため 、 非常 に 読みやすくなっ て いる 。

笠原和夫氏 は 、 東映 で 美空ひばり映画から始まり 、 藤純子モノなど の 仁侠映画 、 「仁義なき戦い」など の 実録路線 、 「大日本帝国」「二百三高地」など の 戦争映画 を 経 て 、 日本映画界 の 衰退 に 伴い「愛・旅立ち」 と いうマッチ明菜競演 の トンデモ映画 と か の 脚本ま で も 書いた人 。 彼 は 軍国少年 で 海軍入りする も の の 戦争 に 行くこ と は なかった の だ が 、 テロリズム と 昭和天皇 が 終生 の テーマだった 。 226事件! の !!生き残り 、 日本共産党員 、 右翼 、 政治家 、 「仁義なき戦い」 の モデル と なった広島 の 極道たちなど膨大な人数 の 人たち に 綿密な取材 を し て 、 リアリズム を 追求した作品 を 書きつつ も 、 会社や監督たち と 徹底的 に 戦っ て きた 。 こ の あたり は 、 読ん で いる者 の 魂 を も たぎらせるほど の 凄絶な戦い で 、 彼 は ストレス の あまり胃 を 失い苦しみな が ら も 、 傑作 を 数多く世 に 送り出した 。

226事件 の 将校たち に 強い共感 を 覚えたり 、 日本 を 勝ち目 の ない戦争 に 追いやったエリート将校たちや 、 戦争責任 を 果たそう と しなかった昭和天皇 に 対し て 忸怩たる思い を 抱いたり 、 映画会社 の 人たち の 無責任さ に 悔し涙 を 飲んだり 、 口調 は あくま で も 穏やか で ありな が ら 、 こんな に も 凄まじくアナーキーな情熱 を 映画 に 注ぎ込んだ男 が いた と は 。

偶然 に も 、 !!!こ の 本 を 読ん で いる最中 に 、 昭和2年 に 生まれた笠原和夫氏 の 訃報 を 聞くこ と に なった 。 まさ に 、 昭和 と いう時代へ の 鎮魂歌 と なっ て いる 。


映画はやくざなり
「仁義なき戦い」調査・取材録集成
破滅の美学 (ちくま文庫)
仁義なき戦い伝説 (宝島SUGOI文庫 B へ 1-11)
竜二 [DVD]

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